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神童と皇女 ~ 一瞬の、人生の重なり。 [リポート]

その昔、まだCDやMDがなかった頃の話。
ステレオがなかった我が家で、音楽を楽しむ方法は、FMラジオ。
好きな曲は録音(エア・チェック)してカセット・テープで聴くという習慣。

私が中学生の頃はNHK-FMしか受信できず、それでもFM雑誌を買っては
番組予定表をチェックしていたものです。最初に買ったFM雑誌は、確か
小学館の「FMレコパル」(?)。いろんな記事の中で、特に作曲家や
アーティストの生涯、エピソードを、第一線の漫画家が交替で描くコーナーが
お気に入りだったなあ・・・。

そういえば黒鉄ヒロシが描いたモーツァルトも、かすかに記憶に残っています。
未完の絶筆となった「レクイエム」の作曲を依頼しに来た謎の男の話。
神童とか天才といわれたモーツァルトですが、貧困と病気に苦しみ、わずか
35年の生涯を終えます。

1791年12月5日の未明に息をひきとったモーツァルト。「依頼主の名前は
聞かないでほしい」と、死人のようにやせ細った不気味な謎の男の要求に
よって、高額な報酬と引き換えに、作曲を了承したものの、眠るのを惜しんで
何かに取り憑かれたように作曲に没頭。そのせいか日に日に健康を害し、
ついに自分自身が死に至る。彼の死因は毒殺説など当時からさまざまな憶測
が飛び交っていますが、ただハッキリしているのは「レクイエム」というのは、
キリスト教の葬式に使われる音楽だということです。

そんなモーツァルトも、6歳の時に一瞬だけ世界史の表舞台につらなる
シーンに姿を現し、輝きをはなっています。

ハプスブルク家支配下のオーストリアの都ウィーンのシェーンブルン宮殿。
皇帝フランツ1世と女帝マリア=テレジア一家を前に、神童は3時間にも
及ぶ見事なクラヴィーア(ピアノの前身のような楽器?)演奏の後、思わず
ステーンと転んでしまいます。
それを助け起こしたのが1歳年上の皇女。「ありがとう、大きくなったら、
ぼくのお嫁さんにしてあげる!」と神童。これはモーツァルトにまつわる有名な
エピソードの1つですが、その皇女こそ、後にフランス国王ルイ16世と結婚し、
フランス革命でギロチンの露と消えたあのマリー=アントワネットその人でした。

ほんの一瞬だけの、2人の人生の重なり。その後の2人の運命を考えると、
切なささえ感じます。

モーツァルト:レクイエム

モーツァルト:レクイエム

  • アーティスト: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, トルボルグ(ケルスティン), ウィーン国立歌劇場合唱団, シューマン(エリザベート), キプニス(アレクサンダー), デルモータ(アントン), モーツアルト, ワルター(ブルーノ)
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 1996/06/19
  • メディア: CD


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