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ケルトの魂~その4 [リポート]

もう20年近く前の、学生時代の話。
経済学の先生がいつも口にしていた言葉があります。
研究したり調べたりする対象は、大きなもの、強いもの、権力をもつもので
あるべきで、弱いもの、無力なものを取り上げて、それを明らかにすることで
彼らに不利に働くようになってはいけない・・・、と。
その先生の講義内容はほとんど忘れましたが、何となく記憶に残っている
のが、この言葉です。

アイルランドも、イギリスという強大な権力(そして収奪システム)に
よって長く支配されました。それに対する抵抗こそ、ケルトの魂と呼ぶに
ふさわしい。だからこそ、強大なパワーの前で、必死にあらがう弱きもの
たちの心理や姿への共感があるのでしょうか?

世界的なロック・バンドになったU2(ソ連上空を飛行して撃墜された
アメリカ軍の偵察機の名前)の1984年発表のアルバムが、
『焔(The Unforgettable Fire)』です。
このタイトルは、シカゴの平和記念館で開催されていた、広島・長崎の
被爆記録展のタイトルと同じ。記念館では同時にマーティン・ルーサー・
キング(「マーティン・ルーサー」って結局「マルティン・ルター」だと気づいた
のは私が教師になってから)の軌跡展も開かれていたとか。
その展覧会に共鳴して制作された楽曲を収めたアルバムが『焔』でした。

『プライド Pride(in the name of love)』という曲はキング牧師のことを
歌っています。

4月4日の朝早く
一発の銃声がメンフィスの空に響きわたる
束縛を逃れ、自由になれるのは
命が奪われる時
しかし、人の誇りまでは奪えない
愛の名のもとに
いま一度愛の力を信じて

アメリカの公民権運動に、命を捧げたキング牧師。
「黒人差別」という巨大な力に立ち向かって、自由と平等の扉に
手をかけ、開け放とうとした。
「私には夢がある・・・(I have a dream・・・)」と彼は叫びました。

同じアルバムにもう1曲『MLK』という曲が収録されています。

眠れ、今夜は眠りなさい
あなたの夢がきっと現実のものになりますように
雷雲が雨を降らせるとういうのなら
雨よ、降れ
あの人の上に降り注げ
すべてはあるがままに

15~16世紀に生き、宗教改革の狼煙をあげたマルティン・ルター。
彼が修道院に入ろうと決意したのは、雷雨に打たれた際に、
神に祈ったために無事だったから、という説も。

巨大な力の前の弱きもの。そして、それへの共感と連帯の絆を
強く感じます。

The Unforgettable Fire

The Unforgettable Fire

  • アーティスト: U2
  • 出版社/メーカー: Polygram
  • 発売日: 1990/06/15
  • メディア: CD


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