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ケルトの魂~その3 [リポート]

強力な国家権力によって個人の権利や主張が踏みにじられるのは、
何もナチス=ドイツのような独裁政権下だけではないでしょう。

アイルランドはイギリスによる苛酷な植民地支配を受けましたが、
20世紀にようやく独立しました。しかし、北部の地域はイギリスに
残り、イギリス系のプロテスタント住民とアイルランド系カトリック住民の
間では長期にわたって激しい民族差別と宗教対立が続いてきました。
いわゆる北アイルランド紛争です。

ジム・シェリダン監督による映画『父の祈りを』は、1974年、ロンドンで
IRA(武力で北アイルランドの独立を目指すアイルランド共和軍)のテロ
によって起きた爆弾事件の犯人として、無実の罪をきせられた父子の
実際の冤罪事件を映画化したものです。
この映画は父子の心の絆の物語ですが、アイルランドの歴史的背景と
それが現代にも深く影を落としている様子がよくわかります。
警察の容疑者に対する傲慢な態度や、アイルランド人を侮蔑する言動には、
正直恐ろしさを感じました。
これが先進国と言われる国での出来事なのかと・・・。

1972年1月30日、日曜日。北アイルランド、ロンドンデリーで行なわれた
一般市民のデモ行進にイギリス軍が発砲。13人の犠牲者が出たこの事件は
「血の日曜日」と呼ばれました。北アイルランド紛争の中でも重要な事件と
言われています。

アイルランド出身で今や世界的なロック・バンドになったU2の1983年の
アルバム『WAR』には、この事件をモチーフにした『ブラディ・サンデイ』
(Sunday Bloody Sunday)という曲があります。

今日のニュースなんてこった
ああ目をつむるなんてできないし
やりすごすなんてこともできない。
あとどれだけ・・・
僕らはこの歌を歌わなきゃいけないのか。
残りは?あとどれだけなんだ・・・。

子供らの足元にはビンのかけらが飛び散り
袋小路の路上には死体が敷き詰められている
でも僕は戦闘への招集には応じない
そいつは僕の背中を壁へと押し付けるんだぜ

そして戦いが今まさに始まった
失ったものがたくさんあるのに
誰が勝ったって言うんだ言ってみろよ
僕らの心には溝が掘られた
母親も子供も兄弟も姉妹も
引き裂かれた

日曜、血の日曜。
涙を拭ってくれ
涙を拭って。

そして僕らには免疫が出来てしまった。
事実がフィクションになって
テレビがリアリティになってしまっているってのに。
そして今日も何百万もの人々が泣き
僕らは飲み食いする
彼らが明日にも死ぬのだとしても。

父の祈りを

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