ケルトの魂~その1 [リポート]
すっかり「イナバウアー」が有名になった、トリノ・オリンピックの
フィギュアスケート女子シングル金メダルの荒川静香選手。
まだあの華麗な演技の余韻に浸っているのは私だけでしょうか?
フィギュアスケートは「音楽」抜きでは成り立たない競技ですが、
荒川選手の金メダルで、フリーの使用曲『トゥーランドット』のCDの
セールスが好調だとか。そして、もう1曲、エキシヴィションの演技で
使われた『ユー・レイズ・ミーアップ』が今、注目されているそうです。
全米で大ブレイクしたアイルランド女性5人組のユニット
「ケルティック・ウーマン」が歌う、しっとりしたバラード『ユー・レイズ・
ミー・アップ』ですが、You raise me up... to more than I can be.
(あなたが励ましてくれるから…私以上の私になれる)という歌詞が
辛いときや落ち込んだときに力をくれる・・・、そんな曲です。
しかし、もともとこの歌詞は、アイルランド出身の作家が、19世紀に
アイルランドで起こったジャガイモの大飢饉のことを取り上げて描いた
作品だとか。シークレット・ガーデン(ノルウェーの男性ピアニストと
アイルランドの女性ヴァイオリニストのデュオ)のインストゥメンタルに
歌詞がつけられ、以後多くのアーティストがカバーしています。
1845年から49年にかけて、アイルランドではジャガイモの病気が
広がって凶作が続き、全人口約900万人のうち、100万人が餓死。
150万人がアメリカへ移民(あのJ・F・ケネディもこうした移民の子孫
です)。当時アイルランドは大英帝国の植民地で、小麦はすべて
イギリスへ送られ、アイルランド人はジャガイモを食べていたことが
原因でした。イギリスによるアイルランド支配は世界史でも最も
苛酷な植民地支配と言われています。
アイルランド人にとって、この19世紀半ばの「大飢饉」は絶対に忘れら
れない記憶です。伝統音楽のみならず、ロックやポップスにもケルトの
魂が宿っています。
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