SSブログ

ケルトの魂~その2 [リポート]

ドイツがゲルマン魂なら、アイルランドはケルト魂でしょうか。
まあ、必要以上に民族のアイデンティティを主張することは少し
危険な部分もあります。ただし、アイルランド人のような民族に
とっては仕方のないことかも知れません。

アイルランドは、イギリスによる植民地支配と宗教対立、そして
アメリカへの移民(とそこでの差別)という、非常に重く苦しい過去
を背負って来ました。

アイルランド民謡で最も有名な歌の1つに『ダニー・ボーイ(ロンドン
デリーの歌)』があります。この歌は、戦いに出てゆく息子を見送る
母親の心情が歌われていますが、時代によっては恋愛の歌詞でも
歌われていたそうです。つまり、こうした民謡は、たいてい詞が
恋愛歌とイギリスへの抵抗歌(レベル・ソング)の二重の意味を
持っていました。

ケルティック・ウーマンの同名のCDアルバムに『シューリ・ルゥ』
という曲が収録されています。この歌は兵隊に行った恋人を慕い、
その帰りを待ちわびるという歌詞ですが、恋人を戦争に行かせる原因
をつくったイギリスを暗に批判しています。

茂木健の『バラッドの世界~ブリティッシュ・トラッドの系譜』によれば、
『シューリ・ルゥ』はその後移民とともに海を渡ってアメリカに伝わり、
部分的にもとの歌詞が残って、メロディもほぼ同じの『ジョニーは兵隊に
なって行ってしまった』という曲に姿を変えました。また1963年の
PPM(ピーター・ポール&マリー)のアルバムに『虹に消えた恋』という
曲が収録されていますが、何と歌詞は『シューリ・ルゥ』と『ジョニーは
兵隊になって行ってしまった』を会わせたような形だとか・・・。

1つの歌が、200年、300年の長い間、少しずつ形を変えながらも、
生き続けている・・・。民衆の、民族の、声なき声としての「歌」が
アイルランドの苦難の歴史を物語り、語り継いでいるかのようです。

ベスト・オブP.P&M

ベスト・オブP.P&M

  • アーティスト: ピーター・ポール&マリー
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD

バラッドの世界―ブリティッシュ・トラッドの系譜

バラッドの世界―ブリティッシュ・トラッドの系譜

  • 作者: 茂木 健
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。