トリノ五輪記念 ~その2 [リポート]
トリノ・オリンピックの終盤で嬉しいニュースが飛び込んできました。
フィギュアスケート女子シングルの荒川静香選手が見事金メダルを獲得!
フリーの演技はNHKのライヴで見ましたが、氷上の華麗な舞いは
かつてのドイツのカタリーナ=ビット選手のような印象。
思えばフィギュアスケートを見るようになって4半世紀近く・・・。
ビールマン・スピンを、本人のビールマン選手がやっているのをテレビで
見ていたというと、さすがに私より年下のフィギュアスケート好きの同僚も
「えっ?」という表情でした。
なぜフィギュアスケートが気になるのか、というと、この競技が「音楽」抜き
には考えられないからでしょう。名演技には必ず「音楽」の力が関わって
いるような気がします。
1984年のサラエボ・オリンピック、フィギュアスケートのアイスダンスで
金メダルを取ったのがイギリスのトービル&ディーン組。今まで見た
フィギュアスケートの中で最高の演技の1つと言ってもいい、もはや伝説
です。この演技の音楽は、ラベルの『ボレロ』でした。
荒川静香選手がフリーに使った曲は、イタリアの作曲家プッチーニの
『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」
自分の一番好きな曲で滑りたいという意志を通して、オリンピック直前で
賭けとも言える曲目変更。そして開会式でのパヴァロッティが歌った偶然。
この2つに運命を感じたという荒川選手。
ジャコモ・プッチーニ(1858~1924年)作曲のオペラ『トゥーランドット』の
初演はミラノ・スカラ座で国家的イベントとして行なわれました。
当時イタリアではムッソリーニが政権の座にあり、オペラ好きのこの権力者の
臨席が予定されていましたが、開演前のファシスト党党歌演奏を指揮者の
トスカニーニが拒否したことから、ムッソリーニの出席は中止されたそうです。
このオペラの舞台は中国の北京で、トゥーランドット姫の婿選びをめぐる
ストーリーが展開しますが、中国では長らくヨーロッパによる中国蔑視の象徴的
作品とされて1998年まで上演が禁じられてきました。
欧米以外の国の選手がフィギュアスケートで初めて金メダルを獲得したのも、
何か「音楽」という魔法の力が働いているような、そんな気分にさせる
『トゥーランドット』でした。
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