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ルターの意気込み [リポート]

さて、問題です。キリスト教で、カトリックとプロテスタントの違いは
何でしょう?
宗教改革の授業でいきなり生徒に尋ねたことがあります(ちなみに、
カトリック系の私立高校では、世界史の授業で宗教改革は教えない、
という話を聞いたことがあります。まあ、カトリックにとってのルターの
存在を考えると・・・。しかし、果たして本当なんでしょうか・・・)。

自分の人生でキリスト教に最も接近したのは、キリスト教系の幼稚園に
通っていたこと(しかし訳あって途中退園)と、教会での結婚式の2つの
出来事のみ。正直な話、世界史を教えるようになるまで(授業で宗教改革を
扱うまで)は、カトリックとプロテスタントの違いもよくわかりませんでした。
「アーメン」とお祈りするときに胸の前で十字を切るのと、そうでないのとの
違い。神父さんと牧師さんの違い。せいぜいこんな程度の知識・・・。

もちろん、ローマ=カトリック教会の発展や宗教改革を扱った授業を
何度やっても、キリスト教の教義は、信仰のない私には理解し難いもの
ですが、意外なことに、音楽や歌詞を比べることで、カトリックとプロテスタント
の違いがすーっと自分の中でわかったような気になりました。

宗教改革を始めたマルティン=ルター(1483~1546)は、音楽の
才能にもあふれた人だったらしく、作曲や演奏をしたようです。
彼の作詞・作曲による讃美歌『神はわがやぐら(砦)』は特に有名ですが、
この曲がつくられた1529年は、神聖ローマ帝国皇帝カール5世が
オスマン=トルコ帝国のウィーン包囲失敗後に、ルター派の諸侯への
妥協が必要なくなり、ルター派を再禁止した年です。
これに対して抗議文(protestatio)を提出したルター派の人々を以後
プロテスタントと呼ぶようになります。

讃美歌といっても『神はわがやぐら(砦)』の歌詞は、敵をやっつけるぞ!
という戦闘的な雰囲気が濃厚です。そこからは、ローマ教皇や皇帝、
すなわちカトリック陣営からの迫害に抵抗していこうとする意気込みを
強く感じさせます。また「主の言葉」=聖書を中心とする個人の内面的な
信仰の重視が垣間見られますが、それが近代の個人主義の出発点
になると言えるのかも知れません。

ルターの宗教改革は音楽にも影響を与えました。
新しい教会音楽、特に「コラール」と呼ばれるドイツ語の讃美歌が
生まれますが、これを完成させたのが「音楽の父」ヨハン・セバスチャン
=バッハです。バッハの『カンタータ第80番 われらが神は堅き砦』は
ルターの『神はわがやぐら(砦)』をもとにした壮大なスケールの曲です。

讃美歌21―交読詩編付き

讃美歌21―交読詩編付き

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本基督教団出版局
  • 発売日: 1997/02
  • メディア: 楽譜


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